2011/09/06

苦しく縫いつけられた口先

僕等は決して何も言わない。

求めあう言葉なく、お互い知り過ぎる快感を貪る。

この関係がどんな意味を持つのかを、

今は一生懸命考えないように、

心を殺す。

僕等は仲間で、

親友で、

男同士で、

それ以上の何かはある筈もなければ、

あるべきでもない。

でも、

今、

こうして互いの身体を探り合っている。

いつからだろうか?

形のないものが弾けるように、

酒の力を借りた僕たちは初めて繋がった。

あの時の背徳感と違和感と痛みは、

今でも忘れない。

もともと快感を求めるだけのこの行為に、

あの時心地よさは無かったけど、

もう戻れない場所に到ったという達成感があった。

そして僕等はそのことを喜んでいた。

でも口にすることはできなかった。

だってそれはおかしな関係だから。

初めて繋いだあの時生まれた背徳感は、

回を重ねる毎に大きくなり、

今にも僕等を押しつぶしそう。





誰が肯定してくれるの?

肯定される価値のあることなの?

僕等の我儘なの?

(それでも何故君はこんなに愛おしいの?)

僕等は互いに確かめ合わず、

少しばかり快感を貪る為と僕はひたすら肯定する。

きっとそれもいつかは崩れ去る。

君に触れることですら恐れる日がきっと来る。

でも、

それまでは、

どうかこのまま、

誰も、

気づかないで。








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