僕等は決して何も言わない。
求めあう言葉なく、お互い知り過ぎる快感を貪る。
この関係がどんな意味を持つのかを、
今は一生懸命考えないように、
心を殺す。
僕等は仲間で、
親友で、
男同士で、
それ以上の何かはある筈もなければ、
あるべきでもない。
でも、
今、
こうして互いの身体を探り合っている。
いつからだろうか?
形のないものが弾けるように、
酒の力を借りた僕たちは初めて繋がった。
あの時の背徳感と違和感と痛みは、
今でも忘れない。
もともと快感を求めるだけのこの行為に、
あの時心地よさは無かったけど、
もう戻れない場所に到ったという達成感があった。
そして僕等はそのことを喜んでいた。
でも口にすることはできなかった。
だってそれはおかしな関係だから。
初めて繋いだあの時生まれた背徳感は、
回を重ねる毎に大きくなり、
今にも僕等を押しつぶしそう。
誰が肯定してくれるの?
肯定される価値のあることなの?
僕等の我儘なの?
(それでも何故君はこんなに愛おしいの?)
僕等は互いに確かめ合わず、
少しばかり快感を貪る為と僕はひたすら肯定する。
きっとそれもいつかは崩れ去る。
君に触れることですら恐れる日がきっと来る。
でも、
それまでは、
どうかこのまま、
誰も、
気づかないで。
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